- VRMとはなんだろう?
- VRMを使うメリットは?
- VRMに対応しているプラットフォームは?
3Dアバターを入手しようと考えたとき、だれでも1度は目にするのがVRMです。
しかし、表面的に理解できても詳細に把握するのは簡単ではありません。筆者も頭を悩ませました。
本記事では、初心者視点で分かりにくいと感じた項目やユーザーとして最低限知っておきたいことをピックアップしてまとめています。
たとえを用いて理解しやすいように解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
VRMとは3Dアバターのファイル形式のこと
VRMとは、人型に特化した3Dアバターのファイル形式の名称です。
少し専門的に解説すると「3Dモデルのあらゆる情報や座標を統一することでプラットフォームをまたいだ利用を目指す技術」と表現できます。
たとえば、あるゲームで作成したアバターを別のゲームには持ち出せませんよね。もちろん、開発元も自社のゲームだけで利用することを前提に開発しているはずです。
そこで、メタバース空間のアバターを統一して複数のプラットフォームに持ち出せるようにしようと開発されたのがVRMです。
VRMを利用する5つのメリット

VRMには多くのメリットがあります。
一般的にユーザーのメリットばかり注目されがちですが、制作側にも大きな影響をおよぼします。
ここでは、ユーザーと制作側の両視点からVRMのメリットを5つ紹介するのでご覧ください。
1つのアバターを複数のサービスで使い回せる
VRMが注目された要因のひとつが、複数サービスで同じアバターを使い回せる点です。ユーザー視点では最大のメリットといえます。
VRMであれば、時間やお金をかけて作成したアバターがプラットフォーム間で無駄になることはありません。
アバターはネット上の人格と考えられているので、どんなプラットフォームでもお気に入りのアバターを使えるのは嬉しいポイントです。
配信で利用しやすい
VRMは人型に特化したファイル形式なので、以下のポイントに対応しています。
- モーションキャプチャー
- 人型のモーション
- 喜怒哀楽といった表情変化
上記のポイントはVTuberにとって欠かせない機能です。
3DアバターということもありVRでの使用に焦点を当てられていますが、VTuber配信にも向いています。
VR機器やトラッキング技術が発展し参入へのハードルが下がれば、メタバース空間で配信するVTuberも増えるかもしれません。

アバターから人間味を感じるためには大事なことだね!



いろんなサービスで使えるし、実はVTuber向きのファイル形式なんだよ!
アバターの権利情報をファイルに埋め込める
制作者のメリットとして、権利情報をファイルに埋め込める点が挙げられます。
2023年5月時点で設定できる権利は以下の2つです。
- アバターの人格に関する権利
- 再配布・改変に関する権利
アバターの人格に関する権利では、暴力的表現や性的表現、商用利用の可否といった情報を設定できます。
再配布・改変に関する権利は、規定のライセンスタイプから選択して制限をかけられます。
つまり、作者の意図に反する行為や不正利用ができないように制限をかけられるということです。
昨今の著作権を度外視したネット社会は、クリエイターにとって嬉しい流れではありません。3Dアバターに限定されますが、クリエイターを尊重したファイル形式といえますね。
オープンソースでだれでも利用できる
VRMは、公式でUniVRMというUnity用の拡張エディターを公開しています。
Unityとは、3Dアバターの組み込みやゲーム開発で頻繁に使われているプログラミング言語です。
オープンソースなので、Unityさえ書ければだれでもVRMファイルを作成できます。
UniVRMはGitHubにて公開されており、公式の導入ガイドもあるため、拡張性を高められるのが大きなメリットです。
アプリケーション側の取り扱いが簡単になる
VRMを使わない場合は、クリエイターの制作方法やモデリングツールによってデータ状況が異なります。
クリエイターやエンジニアにとってデータの不統一は最もやっかいな事例です。ファイルの場所を探したり読み解くだけでも膨大な手間がかかります。
対応ソフトが多い3Dアバターファイルとして知られている「FBX」は、アプリケーションによって読み込めなかったりバージョンを確認する必要があったりと共同開発向きではありません。
その点、VRMに統一できれば制作側の手間が省けてマニュアル化しやすくなります。
VRM対応アバターを作成できるソフト4選


VRMで出力できるアバター作成ソフトは多くありません。
β版がリリースされているソフトはあるものの、本格的に利用できるようになるまでには時間がかかるでしょう。
ここでは、操作が簡単で初心者にも使いやすいソフトを中心に4つ紹介します。いずれも無料でダウンロードできるので、ぜひ試してみてください。
VRoid Studio(ブイロイドスタジオ)


VRoid Studioは、直感的な操作で3Dアバターを作成できるPC用ソフトです。
パーツを選んでパラメーター調節するだけなので、デザイン知識がない初心者の方でも気軽に利用できます。
また、BOOTHというサイトを使えばVRoid Studio専用のパーツ素材やアバターが手に入るので、ぜひ有効活用してください。
VRoid Studio(正式版)の使い方や始め方を1から図解!簡単に本格アバターを作成
カスタムキャスト


カスタムキャストは、スマホだけでアバター作成から配信まで完結できるアプリです。
VRoid Studioと同様にパーツと色を組み合わせるだけなので、簡単な操作だけで利用できます。
VRMで出力するためには月額制の「カスタムキャスト公式チャンネル」に加入しなくてはいけません。
有料ではありますが、VRMで出力できる実用的なアプリはカスタムキャストだけなので、スマホで作成したい方におすすめですよ。
カスタムキャストの使い方を徹底解説!PC利用や配信方法についても紹介
セシル変身アプリ


セシル変身アプリは、VTuberのスズキセシルさんによって個人開発された3Dアバター作成ソフトです。公式ファンクラブに加入すれば、誰でも無料でダウンロードできます。
可愛らしい絵柄が特徴的なので、好みによってソフトを使い分けるとよいでしょう。
VRでは複数のアバターをすぐに切り替えられるので、選択肢の1つとして作成してみてください。
【商用利用可】セシル変身アプリのダウンロード方法や使い方を画像で紹介
Blender(ブレンダー)


Blenderは、3Dモデル全般の作成ができるモデリングソフトです。
プロも使っている本格的なソフトで、デザイン知識がない初心者にとってはハードルが上がります。
しかし、Blenderを使えるようになればアバター作成の幅が大きく広がるのは間違いありません。
今後3Dモデリングを仕事にしたい方や凝ったアバターを作成したい方は、基礎からBlenderを学ぶのがおすすめです。
VRMに対応しているプラットフォーム


すでに紹介しましたが、VRM形式のアバターは複数のプラットフォームで使い回せるのが大きなメリットです。
しかし、実用的なプラットフォームがなければ意味はありません。
ここでは、VRMに対応している大手サービスを3つ紹介します。
ほかにも数十種類のプラットフォームで利用できるので、詳しく知りたい方はVRM公式サイトで対応サービスを確認してみてください。
Cluster(クラスター)


Clusterは業界最先端のメタバースプラットフォームです。
個人でワールドを作れる機能が魅力で、主にイベントで利用されています。
Clusterはメタバース内での収益化に真っ先に取り組んでおり、今後も業界をけん引していくことが期待されています。
バーチャルキャスト


バーチャルキャストは、VR機器専用のメタバースプラットフォームです。
イベントやゲーム、何気ないコミュニケーションに加え、VR空間内の様子を配信できる機能も搭載されています。
VR機器が必要ですが、個人で3D配信できる数少ないサービスです。
YouTubeやニコニコ生放送を使ってコメント返信もできるため、VTuberとしても利用しやすいですね。
VDRAW(ブイドロー)
VDRAWは、PC作業をバーチャルキャラクターの活動として表現できるサービスです。
たとえば、ペンタブを使ったイラスト作成やプログラミング、ゲームといった作業をキャラクターがやっているように表示してくれます。
マウスとキーボードだけで利用できるのが大きなメリットで、VR機器や高スペックPCは必要ありません。
文章だけではイメージしにくいので、興味がある方は上記の紹介動画をご覧ください。
まとめ:これからアバター作成するならVRMがおすすめ
本記事では、VRMがおすすめされている理由や実際の使い方について解説しました。
VRMは、日本で開発された人型3Dモデル専用のファイル形式で、メタバース関連企業の間で統一規格とする動きもみられています。
VRMアバターは複数のプラットフォームで使い回せるため、アイデンティティの維持だけでなく予算を抑えて楽しむ際にも効果的です。
メタバースにおけるアバターは、ユーザーのアイデンティティとして考えられています。
これからメタバースを体験したい方やVRで遊んでみたい方は、VRM形式のアバターを作成してみてください。
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